セルビアの旅の始まりはドナウ河とサバ川が合流する地点にある首都ベオグラードです。一番の見どころは、ベオグラード要塞とカレメグダン公園。要塞の高台から見下ろす川の合流点の眺望は圧巻です。公園近くにはセルビア正教総主教座の大聖堂、大天使ミカエル教会があります。教会内部にある華やかさの中に厳粛さをたたえたイコノスタス（イコンで覆われた障壁）は見逃せません。教会の近くから町の中心部の共和国広場までは歩行者天国のクネズ・ミハイロバ通りがつながっています。通りの両側には素敵なカフェやレストラン、ブランドショップが立ち並んでいます。お土産はどうぞこちらでお買い求めください。観光で疲れたら、新鮮な材料をふんだんに使ったセルビア伝統料理と特産ワインを、民族音楽の生演奏を聴きながらお楽しみください。

ベオグラードの次はセルビアの「聖山」として知られるフルシュカ・ゴーラを訪れてください。山の木立に囲まれて15～18世紀に建てられた16ヵ所もの修道院がひっそりとたたずんでいます。この山のあるボイボディナ州は「サラシュ」と呼ばれる滞在型農園や牧場、ワイナリーで有名です。若い世代にはEXIT音楽フェスティバルが見逃せません。毎年夏にノビ・サドにあるペトロバラディン要塞で開催されるこの野外ロックコンサートには、世界中から50万人以上もの若者が集まってきます。

ドナウ河を下っていくと、ベオグラード近郊のビンチャやルーマニアとの国境近くのレペンスキ・ビールに先史時代の文明の痕跡を残す遺跡があります。ローマ時代の重要な軍事拠点だったビミナツィウムもドナウ河畔にあります。ドナウ河の土手沿いには案内板の完備したサイクルロードがありますので、サイクリングをしながら文化観光が楽しめます。

南部にはキリスト教をローマ帝国の国教に定めたコンスタンティヌス大帝の生まれ故郷ニシュがあります。セルビアの南部はエネルギーに満ちた音楽、風味豊かな食べ物、ピロットのカーペット、カチカバリ・チーズ（イタリアのカチョカバッロ・チーズ）が名物です。レスコバッツでは、セルビア随一の肉のグリルをぜひともご賞味ください。グリル料理で満腹になったら東部セルビアで最も美しい山、スタラ・プラニナ（バルカン山脈）で清浄な空気を胸一杯に吸い込んでください。

西部地方では、他の地域と異なる景色や体験が楽しめます。オプレナッツにある聖ジョルジュ教会はカラジョルジェビッチ王家の霊廟で、教会の内壁一面に張り詰められた煌めくようなモザイクは必見です。「王家の谷」には、13世紀建立のジチャ修道院とユネスコ世界遺産のストゥデニツァ修道院があります。また、ネマニッチ朝のウロシュ1世の王妃となったフランスのアンジュー家の王女ヘレンの建てたグラダッツ修道院もあります。

モクラ・ゴーラの山間部を縫うように、8の字型に敷設されたことから名付けられたシャルガン・エイト鉄道に乗ると、緑があふれる素晴らしい自然景観が楽しめます。鉄道からほど近いシロゴイノ民俗村には伝統的な農家の木造住宅が移設されて公開されており、昔の生活をしのぶことができます。村の売店ではさまざまな民芸品を販売しています。この近くにはセルビアの有名な映画監督エミール・クストリツアが「ライフ・イズ・ミラクル」を撮影するために建設したドルベングラード（セルビア語で、「木の町」の意）と呼ばれる映画村があります。

その昔、ローマ皇帝がよく訪れ、今でも多くの人々に愛されている数多くの温泉が国内に点在しています。よく知られた温泉はブルニャチカ・バーニャ、ソコバーニャ、バーニャ・カニジャ、バーニャ・コビリャチャ、パリッチです。因みにバーニャとはセルビア語で温泉の意味です。セルビアの温泉は日本の温泉とは異なり、熱いお風呂に裸で入浴して楽しむところではなく、温泉プール療法、マッサージ、泥治療などの温泉療法を受ける場所です。温泉だけではなく、セルビアにはズラティボールやズラタルのような高原の保養地もあります。

コパオニク山では冬になるとスキーができます。スキーシーズンは12月初めから4月まで。それ以外の季節にはハイキング、ハングライダーなどのスカイスポーツ、オリエンテーリング、バードウォッチングなどが楽しめます。

セルビアは一年中イベントであふれています。グッチャの「ドラガチェボ・ブラス・バンド・フェスティバル」、クチェボの「ホモリェ・モチーフ・フェスティバル」、ラヤッツの「草刈り祭」、コシエリッチの「羊飼いの日」、ブルニツィのカーニバル、ブルシャッツの「ブドウ祭」などはそのほんの一例です。

どうぞ歴史と文化と活気に満ちたセルビアにおいでください！！